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千葉が生んだ奇跡の偉人・伊能忠敬ゆかりの地を歩く(佐原・九十九里)

千葉が生んだ伊能忠敬の出自を辿る(前編)『千葉 地名の由来を歩く』人物編

千葉県は成り立ち上、古くから全国の各地と密接につながっていました。安房の国・上総の国・下総の国はもともと阿波の国(現在の徳島県)の忌部(いんべ)氏が移住してできた歴史があるのです。また九十九里や銚子が紀州の人々によって開拓された事実、そして平安末期から鎌倉期にかけて千葉常胤の活躍によって全国に千葉氏の勢力が広がっていきました。千葉県はまさに日本史を理解する上で重要な位置を占めています。そんな『千葉 地名の由来を歩く』より選りすぐった人物をご紹介します。

伊能忠敬を美しい景観の残る小江戸「佐原」から辿る

 千葉県が生んだ偉人、伊能忠敬といえば、永く「佐原(さわら)」というイメージでした。ところが、平成の大合併によって、佐原市と香取郡の「山田町」「栗源町(くりもとまち)」「小見川町」が統合されて「香取市」になったため、現在は「香取の伊能忠敬」というイメージに変わりつつあります。

「香取」ももちろん古く由緒ある地名ですが、市名として「佐原」が消えてしまうことは何とも悲しい話。

佐原の街並み

 佐原といえば、何といっても小野川両岸に河岸問屋や醸造などの商家が立ち並ぶ景観が有名で「小江戸」と呼ばれています。埼玉県の「川越」も小江戸として有名ですが、その趣を残しているはやはり佐原です。

 小野川沿いの建造物群はやや観光用に整備された感じですが、すごいと思うのは日常的に使用している店舗などが昔のままの面影を残していること。

伊能忠敬の旧宅

 景観としては小野川沿いよりもはるかに迫力があります。

 小野川沿いの中心地には伊能忠敬の記念館があり、その反対岸には伊能忠敬の旧宅がそのまま残されているので、やはり伊能忠敬といえば佐原ということになるのでしょうか。

 この旧宅は伊能忠敬自身が設計したものといわれています。

 ところが、伊能忠敬が生まれたのは、この佐原ではなく、実は九十九里町なのです。

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谷川 彰英

たにかわ あきひで

筑波大名誉教授

1945年長野県生まれ。ノンフィクション作家。東京教育大学(現・筑波大学)、同大学院博士課程修了。柳田国男研究で博士(教育学)の学位を取得。筑波大学教授、理事・副学長を歴任するも、退職と同時にノンフィクション作家に転身し、第二の人生を歩む。筑波大学名誉教授。日本地名研究所元所長。主な作品に、『京都 地名の由来を歩く』シリーズ(ベスト新書)(他に、江戸・東京、奈良、名古屋、信州編)、 『大阪「駅名」の謎』シリーズ(祥伝社黄金文庫)(他に、京都奈良、東京編)『戦国武将はなぜ その「地名」をつけたのか?』 (朝日新書)などがある。

 

 

 

 

 

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